社労士開業塾ブログ

震災時の給与の支払い義務は?   [ 2011.04.08 ]

こんにちわ

久保社労士法人 久保貴美です

天災事変のための休業など、

不可抗力によるものなどは「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず

休業手当の支払は必要とされません。

ただし、現状の首都圏における計画停電は、

一日の所定労働時間の一部のみの休電であり、

当該時間に基づくと判断される部分のみの休業について

不可抗力的な休業とみなされます。

労働基準法26条は

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、

使用者は、休業期間中当該労働者に、

その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と

規定しています。

ここにいう「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは、

「取引における一般原則たる過失責任主義とは

異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、

民法536条2項の『債権者の責めに帰すべき事由』よりも広く、

使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む」ものとされ

(ノース・ウェスト航空事件・

最高裁第二小法廷判決昭和62年7月17日民集41巻5号1283頁)、

行政解釈においても、

親会社の経営難による資金・資材の供給停止の場合も

これに該当するとされています(昭和23年6月11日基収1998号)。

厚生労働省は、平成23年3月18日付で

「平成23年東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関するQ&A(第1版)」 

を作成・公表し、

その中で

「今回の地震で、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、

その結果、労働者を休業させる場合は、

休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、

事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても

なお避けることのできない事故に該当すると考えられますので、

原則として使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しない」

という判断を示しています。

したがって、

事業場の施設・設備が直接的な被害を受けて労働者を休業させる場合は、

原則として労働基準法26条の

「使用者の責めに帰すべき事由」による休業には該当せず、

同条に定める休業手当を支払う義務はありません。

 

久保貴美 今日のひとこと

実際にこのような災害が発生し、多くの企業が影響を受ける中、どこまでが災害の影響といえるのか、実務家の社労士として判断すべきところです。それは、ひとつひとつの災害ごとにその対応について、労働基準法が改正されるわけではないですし、法律が変わらない中で、どう、解釈し、事業主責任を果たすべきかというご相談を受けることになります。 地震により、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていない場合には、原則として「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当すると考えられます。 ただし、休業について、 ①その原因が事業の外部より発生した事故であること ②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること この2つの要件を満たす場合には、例外的に「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しないと考えられます。具体的には、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。

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